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日本共産党 吹田市議会議員団

団ニュース

「選択的夫婦別姓制度を安易に導入せず、旧姓の通称使用の法制化等を求める意見書」についての反対意見

※3月24日、本会議最終日の討論採決で日本共産党が述べた、議案や意見書に対する意見を紹介します。
 

 本意見書案には、夫婦別姓を導入すると、家族の一体感の喪失や、親子で名字が異なるということが起こり、子どもに与える悪影響が考慮されていないとあります。2021年の内閣府調査では、子どもへの好ましくない影響についての問いに、「友人から親と名字が異なることを指摘されて嫌な思いをするなどして対人関係で心理的負担が生じる」という答えが最も高くなっています。
 しかし、今でも、事実婚や離婚、国際結婚など夫婦間、親子間で名字の違う家族は少なくありません。現在は夫婦同姓しか法的に認められていないため、夫婦や親子の名字が違う人は少数派であることから、違和感や疎外感を持つ人もいるかもしれませんが、選択的夫婦別姓が導入されれば、夫婦や親子で名字が違うことも当たり前にみられるようになり、そのような不安は解消されていくと考えます。旧姓の通称仕様を法制化すれば、夫婦別姓と同じく外から見れば夫婦や親子間で名字が違うとことになり、意見書は自己矛盾を起こしています。
 内閣府の調査では、「家族の一体感が弱まるか」という問いに、6割が「影響がない」とし、20代以下では7割以上が「ない」としています。だいたい、夫婦同姓が必然的に絆を深めるならば、夫婦間で深刻な対立やDV、離婚といった問題は起こらないはずです。そもそも、夫婦同姓の義務は明治民法で、家長による男性優先の家族内序列がつくられ、女性は法的無能力者とされた男尊女卑の社会で定められたものです。歴史や文化と言ってもここ130年ほどのことです。何より、事実婚より法律婚の夫婦のほうが、絆が強いなど、根拠不明、失礼千万と言わなければなりません。
 意見書では、2021年の内閣府調査の結果、夫婦同姓を維持したままで、旧姓の通用使用の法制化を求める意見が最も多いとしています。それ以前に最も多かった「選択的夫婦別姓の導入」賛成は減少していますが、これは、それまでなかった通称使用法制化の設問を新たに追加しており、調査に対し一部国会議員の介入があったとも報じられています。
 意見書にあるように、仮に旧姓に法的根拠を持たせると、改姓後も、旧姓もどちらも法的根拠を持つことになります。どちらが本名かわかりにくく、かえって混乱を生むことになります。
 現在、民法では夫婦どちらかの名字を名乗るとなっており、改姓を受け入れなければ法律婚はできません。そして、実際には夫婦の95%は女性が改姓、男性の名字になっています。各種制度変更の手続きの労力や負担、不利益は、一方の性に重くのしかかっており、女性差別撤廃委員会から勧告が4度も出されているのはそのためです。
 問題は不便・不利益だけにとどまりません。1988年、最高裁も「氏名は、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴、人格権の一内容を構成するもの」としています。生来の名字を続ける選択肢がないことは、アイデンティティの喪失による苦痛を与え、人格権にかかわるものです。
 意見書にある最高裁判決は、選択的夫婦別姓を否定したものではありません。制度のあり方については「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならない」と述べ、国会での議論を促しました。法制審議会で夫婦別姓導入について提言が出されて29年。選択的夫婦別姓を導入して困る人はいません。通称使用の拡大・法制化では問題は解決しないことは明らかなため反対します。
(維新・自民・吹田・参政の各会派が賛成し可決)