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日本共産党 吹田市議会議員団

団ニュース

2月議会 カスハラ防止条例に対する賛成意見 修正案には反対

「吹田市社会通念上相当な範囲を超えた言動による職員の被害の防止に関する条例」について、原案に賛成し修正案には反対しました。

※制度解説
制定の背景及び趣旨
 民間企業の従業員が顧客から受ける理不尽な要求や嫌がらせ、いわゆる「カスタマーハラスメント」が、近年、社会問題化しています。地方自治体等の公務職場においても、不適切な要求、暴言、暴行などのカスタマーハラスメントが行われ、これに対応する職員は心身ともに疲弊し、過度な心理的負担を強いられている状況にあります。
 市が実施したカスタマーハラスメントに関する職員アンケートの結果によると、「過去3年間にカスタマーハラスメントを受けたことがある」と回答した職員の割合は、回答者全体の41・7%となっており、一部の市民から、不適切な要求、暴言、暴行などのカスタマーハラスメントを職員が受けている実態があり、職員が安心して職務を遂行することができる環境を確保するとともに、市民が行政サービス等を利用する環境が悪化することを防ぎ、もって公正な市政の運営に資することを目的として制定するとしています。
市民意見、市民参画と政策決定について
 今回議論になった、市民の意見に耳を傾け説明責任を果たす等の視点の必要性について、日本共産党の代表質問において、これらは自治基本条例において定められ、市政運営全般において適用されるものであることから、本条例で市民参画が阻害されるものではない事を確認しました。
 また、条例の中には対応の原則として「職員は、行政サービス等には法令により提供が義務付けられているものが多く含まれていることを十分に認識し、市民等の権利を不当に侵害することのないよう、当該言動に慎重に対応しなければならない」と市民の権利を侵害しないことが明記されています。
 このことからも条例は、暴行、傷害、暴言、脅迫、侮辱、土下座の強要、威圧的な言動、継続的で執ような言動など、手段・態様が相当な範囲を超えるものを対象に定められています。
 ですから、維新の会から追加修正で提案された、「市は、社会通念上相当な範囲を超えた言動と捉えられることに疑義がある旨の申出を市民等から受けたときは、当該申出を市民等から受けたときは、当該申出を行った市民等に真摯に対応しなければならない」との文言は、さらなるハラスメントを引き起こし、職員が対応を迫られる危険性が生まれることになります。

修正案に反対する意見

 今回、吹田市から提案された、「社会通念上相当な範囲を超えた言動による職員の被害の防止に関する条例」、いわゆる職員へのカスタマーハラスメントを防止する条例案に対し、維新の会から修正する条例案が示されました。
第一の修正
 職員へのカスタマーハラスメントに限った市の条例案に、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどを追加し、市長や特別職、我々議員もこれらハラスメントをしてはならない、と追加するものです。
 私たち日本共産党は、あらゆるハラスメントを根絶し、市民や職員の人権が守られ安心して働き暮らせる環境を作る立場から、これらの趣旨には賛同するものです。
 しかし、今回の条例は、職員へのカスタマーハラスメントを防止する目的に構成されており、そこに目的が異なる趣旨を強引に盛り込むことは、本来この条例が目指す目的を曖昧にし、何を目指すのか理解に苦しむ条例となってしまいます。
第二の修正
 カスタマーハラスメントを行っている当人が疑義を訴えれば、引続き市が、ひいては職員が対応を迫られるとも解釈できる条文が追加されており、これでは、職員を本当に守れるのか疑問に思うところです。このような条文は、先駆けてカスタマーハラスメント条例を制定している他の自治体にも先例がなく、条例の持つ実効性を否定する目的で悪用するケースも生まれるのではないかと危惧するところです。この条文に対してどのように対応するのか、との問いに対して担当部は、「現時点では、まだ考えていない」との答弁でした。職員を守る具体的な対応を検討することもなく、このような条文を追加することには賛同できません。

 委員会質疑において法規担当職員に対し、以上述べた条文の追加修正に対して法的に大丈夫なのか、また条例目的に沿うものなのか、と問いましたが「答える立場にない」として明確に答えることはできませんでした。
 私たち日本共産党は、原案に対し他自治体の条例のように市内事業者も含め市内で働く幅広い人たちの職場環境と人権を守る条例にしては、と議論してきました。
 また、昨今大きな問題となっている市長や議員のハラスメントを自ら律する意味でも、議員間でも議論を積み上げきた様々なハラスメントを防止する条例は、安易に本条例案に部分的に追加するだけのものではなく、一つの確固たる独立した条例を制定し、市民に対して広く理念を示す条例でなければならないと訴えてきました。
 ですから、修正案が性急に示され議論も深められないなか、様々な疑問や懸念があるにもかかわらず、賛否を問われることは非常に残念です。以上意見とします。
(維新の会から出された追加修正部分:賛成多数で可決、日本共産党は反対。それ以外の条例原案:賛成多数で可決、日本共産党は賛成)